Nutri-developmental biology：栄養に応じた発生調節の分子メカニズムの理解に向け て
Nutri-developmental biology: Towards understanding molecular mechanisms of nutrient-dependent regulation of development

従来の発生生物学のほとんどの研究では、実験室の均一飼育条件の下で起こる現象に焦点が当てられてきた。一方、発生プログラムは、外環境に応じて柔軟に変化できるポテンシャルを元来秘めている。こうした外環境の典型例として、個体を取り巻く栄養が挙げられる。発生プログラムは、貧富の栄養条件下の変化が生じてもそれに適応し、分化と形態形成の安定性を保持する。しかし、こうした栄養依存的な発生調節を下支えする遺伝メカニズムに関する研究『Nutri-developmental biology』は未だ多くない。本ワークショップでは、ハエと線虫に敢えて対象を絞り、精緻な分子遺伝学を基軸としながら、次世代シーケンシング、メタボローム解析、ケミカルライブラリー、大規模変異系統コレクション、画像解析などの現代的手法／リソースを活用した最新の研究を紹介し、栄養と発生の理解の現状を議論したい。

Organisms have the potential to accomplish development under dramatic changes of nutrients, which ensure their survival and reproductive success. However underlying genetic mechanisms are largely unknown. We discuss studies of this emerging filed, “nutri-developmental biology”, in which Drosophila and C. elegans are used in combination with modern approaches, including RNA-seq, metabolomic analysis, image analysis, and high-throughput screening of mutants or chemical libraries.

講演者（所属）演題名

• 平林享（MRC Clinical Sciences Centre, Imperial College London）
  高糖質食による糖代謝異常が腫瘍増殖を促進する分子機序の解析
• 丹羽隆介（筑波大学　生命環境系）
  母から子へと伝えられる栄養の力：ショウジョウバエのステロール動態研究から
• 福山征光（東京大学　大学院薬学系研究科）
  線虫における神経前駆細胞の栄養応答を司る組織間ネットワーク
• 服部佑佳子（京都大学　大学院生命科学研究科）
  栄養バランス変化に適応する生体システムの解明に向けて
• 波田一誠（筑波大学　生命領域学際研究センター）
  線虫の発生とアセチル化制御
• 森明弘（University of MassachuseJs Medical School）
  Hajime--‐no IPPO:Fat vs. Body Size for nutri--‐developmental biology