波のうねりの回数が痛みを伝えている!

背景

動物は環境から多くの感覚刺激を受容しながら、それらに適切に応答することで生活しています。特に、体の損傷に伴う「痛みの刺激」への応答は動物の生存を大きく左右します。刺激の強さは発火頻度に変換されて伝達されることがよく知られていますが、ショウジョウバエ幼虫の痛覚ニューロンにおいては、神経活動の発火パターンが高温の感覚情報の担い手になり得ることが知られています。しかし、その神経活動の頻度と持続時間がどのように制御されているかは不明でした。


研究手法と成果

 ショウジョウバエ幼虫の痛覚受容ニューロンが痛覚刺激を受容した時に示す発火パターンを詳細に解析しました。その結果、このニューロンでは、刺激の強さが、発火頻度だけでなくバースト発火と呼ばれる特殊な発火パターンとその休止期の発生回数にも変換され脳へ伝達されていることを明らかにしました。さらに、SKチャネルという細胞膜に埋め込まれたタンパク質が神経活動の「波のうねり(発火頻度の変動回数)」を発生させるうえで重要な役割を果たしていることが分かりました。


文献

原著論文

Terada et al., eLife, 2016, DOI: 10.7554/eLife.12959

Onodera et al., eLife, 2017, DOI: 10.7554/eLife.29754

プレスリリース

神経活動の「波のうねり」が痛みの情報を担うしくみを解明